XVIII 月 The Moon は、
タロットの大アルカナに属するカードの1枚である。
ウェイト版
マルセイユ版
カードの意味
正位置
不安定 幻惑 現実逃避 潜在する危険 欺瞞 猶予ない選択
逆位置
失敗にならない過ち 過去からの脱却 徐々に好転 未来への希望 優れた直感
ウェイト版では、隠れた敵 幻想 欺瞞 失敗 を意味するとされています。
カード番号は、18
月の女神カードに描かれた人面の月は、母性的な印象を感じさせます。
洋の東西に関わらず古くから知られる月の象徴として、
陽に対する陰である事から、
陽への対立物としての解釈や、
様々な絵画の中で月が女性像と共に描かれるなど、
女性や女神の象徴として扱われた事から、
月を
女性存在の直接的暗示と置いて解釈される場合があります。
荒野マルセイユ版で描かれる前人未到の荒野は、
現実的な緑色ではなく黄金色であることから、
精神世界の事象、または理想化された状況を意味しています。
建物と犬カードの両脇には
塔のような建物が見えます。
マルセイユ版の建物は違う立場にある対象的な存在を象徴していて、
時の流れを左右にみてとれば、新旧の相反性を表現しています。
対に描かれる犬も、性質が対する同一存在の対立像を通して、
内面に浮かぶ葛藤を表現しています。
この二匹の犬は、心の中の
避けられない試練の象徴と解釈されます。
一対として描かれる2匹の犬、2棟の建物と共に双子の反復表現であり、
無意識の中から出現する像が、
18番の
月においてより意識的に具体性を帯びてきたことを表しています。
月の雫月光として描かれる
雫の象徴も同様に、
精神性が明確な形を帯びてきた様子を表していて、
これは
塔で飛散し、
星で瞬いていたものと同一であるといえます。
マルセイユ版の雫の形は、下向きではなく上向きに描かれていて、
月がエネルギーを吸い上げている様にも見えることから、
先の解釈と合わせ
悪妻 魔女といった否定的な存在として解釈される事も多いです。
ザリガニザリガニは、カードの意味を方向付ける上で重要な役割を果たしています。
ギリシャ神話では、カニがヘラクレスを川へと引きずり込もうとする等、
甲殻類は人の意を介さない下等な生き物として描かれています。
このザリガニはカードを見る者の側では無い方を向いています。
マルセイユ版では水場に沈み、
二匹の犬と同じく未だ試練を超えていない状態を示しています。
ウェイト版ウェイト版とマルセイユ版を見比べて分かるように、
22枚の大アルカナの中でウェイトが大きく構図を変更しなかったうちの1枚です。
水の中の甲殻類の位置や建物の形の他は、全体の配色程度に留められています。
細部変更のみで、ウェイトはここでも表現の大胆な革新を試みています。
ウェイトの建物は
世界への入り口となる
門を表していて、
まるで監視塔の様な威圧感をもって描かれています。
右の狼は自己の内面における動物的本能を、左の犬は理性や社会性を象徴し、
ザリガニと合わせて同一状況に置かれたそれぞれの違いを表現しています。
ウェイト版の水辺へと乗り出す姿は次段階への進歩を予感させます。
カードの要旨自らが導く、未だ見えざる真実への道程 それを辿ることの困難
月の象徴真実への導きを与える、無名無形の見えざるもの
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