XI 正義 Justice は、
タロットの大アルカナに属するカードの1枚である。
ウェイト版
マルセイユ版
カードの意味
正位置
公正・公平 善行 均衡 誠意 善意 両立
逆位置
不正 偏向 不均衡 一方通行 被告の立場に置かれる
ウェイト版では、平等 正しさ 行政 正当な判決 を意味するとされています。
カード番号は 8 もしくは 11
カード番号が2つ?
初めての表記ですが、マルセイユ版等の伝統的なデッキでは 8 と表記されています。
ウェイト版ではカードの数字を「力」と入れ替えるという、大胆な変更を行って以来
ウェイト版を始めとする黄金の夜明け団系統のデッキでは 11 となっています。
このために現在では2系統のデッキが存在することになりました。
現在でも
力 と共にタロット研究者の間では、
しばしば議論されることのある1枚となっています。
構図としては、玉座に腰掛けた人物が剣と天秤を手にしている様子が描かれて、
マルセイユ版もウェイト版も、IX 隠者 The Hermit と同様に、
構図の大きな変更点のほぼ無い、珍しいカードの1枚です。
マルセイユ版では 正義 とは姿かたちを持たず、
カードに描かれる剣と天秤を持った女性は 正義 という概念の
幻影的イメージの投影として捉えられています。
ギリシア神話等をはじめ、女神と少なからず関連性はありますが
完全に同一視されることはありません。
正義 に描かれる象徴が一貫して訴えているのは、
正義 と 悪 相反する力同士の調和のとれた結合であるといえます。
右手に掲げた黄金の剣、これはその持ち方から 武力 として振り回すのでは無く、
支配 の証として、王が杖などを掲げるのと同様に扱われています。
対して左手の天秤は、均衡を保っているにもかかわらず
左右の受け皿の大きさを変えて描かれています。
これは 公平 とは常に 左右対称 を示すものでは無いという基本概念に則ったもので、
数学的な均衡よりも、調和や機能的な美しさといった感性による均衡を示こと、
正義 という形の見えないものを表す要因となっています。
剣と天秤をもった女性の目は、そのどちらにも向けられること無く、
社会の価値観や個人の感情によって常に普遍とはいかない 正義 その概念を、
視覚的情報や感情に流されることの無いように、右にも左にも向けられていないのです。
マルセイユ版での 正義 は、カード番号が 8 に位置していますが、
この 8 というアラビア数字は2つの○を一筆で書いた形であり、
天秤の2つの皿を垂直に並べた形を容易に連想させます。
ウェイト版に描かれている女性はギリシア神話に描かれる、
正義を象徴する 女神アストライアー 又は 母テミス がモチーフとされています。
天秤は アストライアー の神話に由来する公正な裁きを意味しています。
これは我々の生活にも少なからず影響を与え、
弁護士の象徴であるバッチのモチーフ 天秤の起源になっています。
また剣は 大天使 ミカエル が手にする、断罪の証に由来すると言わています。
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